建築行脚

薬師寺東塔解体修理見学会

もう先月のことになりますが、薬師寺の東塔の解体修理現場の見学会に行ってきました。ちょうど1ヶ月前ですね。
約1世紀ぶりの解体修理とのことで、鉄骨造による素屋根にすっぽり囲われての大修理です。
修理の様子は写真でお見せできないのですが、三重塔の二重めの屋根くらいまで上がっている状態で、垂木と桁が求心的に集まる中央にニョキッと心柱が飛び出しているという、普段滅多にお目にかかれない姿を見ることができました。

下層部ではすでに野地板まで葺かれており、その野地板には「平成二十九年度修補」の焼印が記されていました。また垂木端部の茅負には「昭和二十六年修理補足」の焼印が。これまでの修理の歴史を感じさせてくれました。

工期は予定よりも遅れ気味とのことですが、2020年には美しい姿を拝めそうです。
1981年に西岡常一氏によって再建された西塔はその木部を朱色としていますが、今回の大修理で東塔も西塔のように着色されるのかと思いきや、修理前の古色を維持するとのこと。綺麗にしすぎない修理という方向のようで、往年の姿を見ていた者としてはホッとしたのでした。
ところでこの工事のための素屋根。現代建築を生業とする者にとってはこれもまたとても興味深い建築物でした。高さ34mを超える東塔を無柱空間で覆ってしまうのですからなかなかすごい建築です。

動線はスロープが設けられているのですが、このスロープが二重螺旋になっていて、見学者と工事関係者を分けるためなのか、それとも工事時の往来の一方通行化を図っているのか、いずれにせようまい効率化が図られているのでしょう。
この素屋根の建設時の様子がYoutubeでも上がっていますが、解体時に生まれ変わった東塔の姿が露わになる様子も是非実見したいものです。