現場では上棟を迎え、耐力壁には構造用合板が張られ、見通しの良かった軸組に壁が作られています。
軸組だけの状態だとなかなか見えない視線の行方が、壁が設けられることにより明確になり、どう空間を繋いでいくかという設計意図が現れてきます。
人が歩いて行くと水平方向の視線の変化はもちろんありますが、上下の動きによる高さの変化もあります。そこでは壁だけではなく、屋根なども景色をどう切り取るかというフレーミングの役割を担います。
設計時に模型や3Dで幾度となく検討を重ねてきた結果がここへきてようやく現れるといったところです。
そしてその景色を切り取る開口部では、そのディテールが大切になります。この現場ではオーソドックスな汎用アルミサッシュを使用しながら、その壁や屋根との取り合いを決めています。設計時に検討した納まりを、施工時に改めて大きな縮尺で再検討をしていくといった具合です。
現場の職人さんの意見も聞きながら、より確かな納まりへと昇華させていくようにします。
床・壁・天井・開口部・素材…など、空間を形づくる要素は様々ですが、それぞれの要素の納まり方次第で空間の感じ方は随分と変わります。
使用する素材により、ざっくりとしたディテールが良いときもあれば、緻密に納めた方が良い時も。
そんな細かな部分の積み重ねが、その空間の性格となって現れていくことになるので、疎かには出来ないのです。